春になり、あたたかかくなるといっせいに花をさかせるサクラの木。みな
さんもお花見に出かけたことがあるでしょう。サクラの花が満開になると本
当に美しいですね。
サクラ、といっても実はとてもたくさんの種類のサクラの木があります。
ヤマザクラ、シダレザクラ、カンヒザクラ、ヤエザクラ・・・など名前を聞い
たことがある花の名前もあるはずです。私たちにとって身近なサクラはソメ
イヨシノという品種です。ソメイヨシノは日本の各地で植えられたので、み
なさんが通っている学校の校庭や公園などでも見かけることができます。そ
のソメイヨシノの木が春、夏、秋、冬でどのようにすがたを変えるか様子を
観察してみましょう。
1 春のサクラ
花が満開のサクラの木。春から夏にかけて、このあとサクラの木はどのよ
うに変わるでしょうか。また、えだの先にも注目して観察してみましょう。
【図3-1 春のサクラの木の全体像】
【図3-2 春のサクラの枝の様子】
《問》サクラの花はどのようなつくりになっていますか。花びらは何枚ある
でしょうか。
サクラの花には花びらが5枚あります。(4〜7枚のものもときどき見つ
かります。)花の中にある1本のめしべのまわりには、たくさんのおしべが
あります。おしべでは花粉がつくられ、花粉がめしべにくっつくことで種子
(しゅし・・・「たね」のこと)がつくられます。
【図3-3 花びら おしべとめしべ】
2 夏のサクラ
サクラの花がちるころになると、葉が出始めます。気温がどんどん上がり、
暑くなってくると、葉の緑色は濃くなり、花があった場所にはサクランボの
ような実ができます。
【図3-4 夏のサクラの木の全体像】
【図3-5 夏のサクラの木の枝の様子】
《問》サクラの実はどのような色をしているでしょうか。
サクラの実は最初赤い色をしていますが、だんだん黒むらさき色になりま
す。(ソメイヨシノの場合十分にじゅくす前に実が落ちてしまうため、この
実の中にある種をまいても、めがでてくることはめったにありません。)
3 秋のサクラ
夏の暑いころには緑色をしていたサクラの葉は、秋が深まってくると赤い
色になってきます。
【図3-6 秋のサクラの木の全体像】
【図3-7 秋のサクラの木の枝の様子】
《問》サクラのえだ先の色はどんな色をしているでしょうか。
えだの先は緑色をしています。この部分が今年成長した部分なのです。緑
色のえだは、少しずつ茶色に変わります。
4 冬のサクラ
冬になると、サクラの木は葉を落としてしまいます。
《問》葉を落としたサクラの木はかれてしまったのでしょうか?
冬になって葉を落とす木を落葉樹(らくようじゅ)といいます。また、反対
に一年中緑の葉のままでいる植物を常緑樹(じょうりょくじゅ)といいます。
落葉樹のサクラは、冬の間、かれているようなすがたをしていますが、寒さ
から身を守りながら春にさかせる花のめを少しずつ大きくさせているのです。
【図3-8 冬のサクラの木の全体像】
【図3-9 冬のサクラの木の枝の様子】
また春になり、あたたかくなるとサクラの木は花をさかせます。日本は南北
に長い国なので、沖縄県では4月に海水浴ができますが、北海道では雪が積も
っていることもあります。ですから、サクラの花がさく時期も南から北に向か
っておそくなります。沖縄では1月の終わりごろにさいています(カンヒザク
ラ)が、北海道では5月の初めにさきます。
【図3-10 サクラ前線の図】
みなさんの住んでいる地域はいつごろ花がさくか予想してみるのもよいでし
ょう。
たのしい理科小話@生きているもの(星の環会)2005年3月 Hideyuki Miura