実生活・体験の中で感ずる“自然現象の不思議”に答える―コピーOK!子どもにする1000字作文的トークのネタ−
花がさくわけ1000字作文的トーク 三浦 秀行
あたたかい春の日ざしを受けてさいている色とりどりのチューリップの花。とてもきれいですね。ところで、植物にとって花はどんなはたらきをしているのでしょうか。また、花がさくのはどうしてなのでしょうか。
まず、花がさくわけを考えるために、花のしくみについて説明する必要があります。チューリップの花は図のようなしくみになっています。
図 チューリップの花のつくり
きれいな色をした花びらの中には、おしべ、めしべがあり、めしべの下には子房というたねが育つ場所があります。おしべの先にはやくという花粉が入ったふくろのようなところがあり、その花粉がめしべにつくことを受粉といいます。花粉には命を伝える設計図が入っており、子房の中のもう一つの設計図といっしょになってたねをつくり始めます。つまり、植物は受粉することで、たねをつくることができるのです。植物にとって花はたねをつくるための大事なはたらきをしていることがわかります。
「本当にチューリップにたねができるの?」とあなたは思うかもしれません。球根で育てるチューリップも、他の花と同じようにたねができるのです。花がさき終わったあとの子房の部分を開いてみると、たねが育ち始めている様子を観察することができます。
受粉するためには、おしべの先にある花粉をめしべまで運ばなければなりません。その役目をしているのがハチやチョウなど、花粉や花のみつなどをえさにしているこん虫です。こん虫がえさを求めて花から花へと飛び回っている時に、こん虫の体についた花粉が、めしべにふれて受粉することができるのです。ですから、植物もこん虫が集まるように色や形を工夫した花をさかせています。また、風が花粉を運んでいる場合もあります。スギやマツなどの植物です。これらの植物は花粉が飛びやすいように形を工夫しています。
このように、確実にたねをつくり、命を伝えることができるように、植物は花の色や形を工夫してさかせているのです。植物も子孫を残すために一生懸命生きているのです。
楽しい理科授業 (明治図書) 2006年8月号 Hideyuki Miura