ヒマワリの花は本当に太陽の方を向く?


 暑い夏の日差しを浴びて、大きな黄色い花を咲かせるヒマワリ。最近は小さなヒマワリや赤い花のヒマワリも見かけますが、ヒマワリといえばあの黄色い大きな花を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。世界で一番大きかったヒマワリは、なんと7.6m!もあったそうです。

 ヒマワリを漢字で表すと「向日葵」。つまり「太陽の方角を向く花」という意味です。英語では「サンフラワー(太陽の花)」フランス語では「トォルヌソル(太陽の方に向きを変える)」という名前で、太陽と関連した名前が付けられているのは世界共通のようです。

 ところで、ヒマワリの花は名前の通り本当に太陽の方を向いているのでしょうか?

実は、ヒマワリの花がいつも太陽の方を向いているというのは大きな間違いです。今度、ヒマワリの花をよく観察してみましょう。ヒマワリの花は、太陽を向くどころか全く動いていないことに気がつくはずです。これでは「太陽の方を向いていないのにヒマワリという名前はおかしい」と思う人がいるかもしれません。

 ヒマワリの花は太陽の方向を向きません。しかし、なんとつぼみの頃には太陽の方を向いて動く習性があるのです。朝、日が昇る頃は東を向き、日中は南、夕方は西の方を向きます。すっかり太陽と同じ方角を向いていることになります。どうしてこのような動きをするのでしょうか。

 ヒマワリが成長するためには日光が必要ですが、成長途中のヒマワリは、茎の日光が当たらない部分が伸びるという特徴があります。太陽の動きに合わせて、成長する部分が変化するため、太陽の方を向いて動いているように見えるわけです。

 ところが、ヒマワリにはさらに不思議なことがあるのです。日が当たっていない夜もつぼみが動くというのです。太陽の動きに合わせて西を向いていたヒマワリは、明け方、日の出の1、2時間前に東に向きを変えるというのです。この現象はなぜ起きるのか、詳しいことはまだ分かっていません。

 このように東から西へ動いていたヒマワリも、花が咲く頃には動き方がだんだん小さくなります。そして最後には成長が止まり、東の方を向いたままの状態となって、大きな花を咲かせるのです。

 

ヒマワリの蕾が太陽の方向を向くのは、植物の成長を促進する「オーキシン」という植物ホルモンの影響である。オーキシンは植物の先端でつくられた後、茎の日光に当たらない部分に動いていく。そのため、日光が当たる反対側の部分の成長が促進される。

通常ひとつに見えるヒマワリの花は、数多くの花の集合体である。花弁のようにまわりに一列に並んでいるのが舌状花と呼ばれ、おしべやめしべが無く種子をつけない。種子ができる部分の花を筒状花という。キク科の花はこのような花が多く、タンポポもヒマワリと同じような花のつくりとなっている。

明治図書「理科がもっと面白くなる科学小話Q&A100 小学校中学年編」 200211月 Hideyuki Miura

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