温度の単位はなぜ「℃」?

 算数で「角」の勉強をしたときの単位は「°」と書いて「度」と呼びました。ところが、温度の単位は「℃」と書いて「度」と呼びます。同じ「度」と呼ぶのに、片一方には「C」という文字がついていますね。この「C」は何を表す記号なのでしょうか。

 温度の単位には、「セ氏○度」という表し方と「カ氏○度」という表し方があります。セ氏20度の温度を20℃、カ氏20度のことを20°Fと表しています。

 それでは、セ氏温度とカ氏温度の違いは何なのでしょうか。

 セ氏温度は、水が凍る温度を0度、1気圧のもとで水の沸騰する温度を100度とし、その間を100等分にして表したものです。Celsius(セルシウス)という科学者が考えたので、セ氏温度と言われています。

 カ氏温度は、氷と水を混ぜた物の温度を0度、健康な人の血液の温度を96度として定めたものです。Fahrenheit(ファ−レンハイト)という科学者が考えたものですが、ファーレンハイトを中国語で表すと「華倫海」となり、ここから華(カ)氏温度と日本では呼んでいます。ちなみに、セ氏温度は、セルシウスを中国語で「摂爾修」と表すので、漢字で摂氏温度と書きます。

 セ氏温度とカ氏温度では同じ20度でも表す温度は異なります。アメリカ合衆国では主にカ氏温度を使っています。アメリカ合衆国の人に「今日の最高気温は90度でした」と言われると、日本人の私たちはちょっとびっくりしますが、カ氏90度はセ氏温度で表すと約32度となり、そんなに驚くほどの温度ではないことが分かります。

 セ氏温度とカ氏温度の他にも、絶対温度というものがあります。絶対温度はK(ケルビン)という単位を用いて表します。絶対0度をセ氏温度で表すと−273.16℃となります。

 このように、温度を表す単位には様々なものがあるため、「C」という記号一つ書き忘れただけでどのような温度を表しているか分からなくなることもあります。ですから、実験をして温度を記録するときなどは正しく「℃」と書き表すようにしましょう。

セルシウスは最初、水が凍る温度を100度、水の沸点を0度としていたが、後に現在の様に改めた。

カ氏温度は、「人間の体温を100度として定めた」としている文献もあるが、これをセ氏で換算すると38℃となり、現実とずれが生じてしまう。ファーレンハイトは最初、動物(羊)の体温を100度と定めたようで、それを人間の体温に当てはめたら96°F36℃)となったという説もある。

明治図書「理科がもっと面白くなる科学小話Q&A100 小学校中学年編」 200211月 Hideyuki Miura

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